ランナーズハイ:走ると幸せになるのはエンドルフィンのせい?研究で見る答え
💡 要点まとめ
✅ 長く走ったあとに気分が上がる変化は、ヒトの研究でも確認されています
✅ 「主役はエンドルフィン」という説は弱まり、エンドカンナビノイドが有力候補に上がっています
✅ 研究は小規模で条件も限られるので、感じなくても大丈夫です。気分の良さはおまけと考えましょう
「走っていると、ある時から苦しさが消えて気分がよくなる」という話、聞いたことがありますよね。でも実際に走ってみると息が上がるだけで、「自分には来ないな」と思う日のほうが多いものです。この記事は、ランナーズハイが本当にあるのか、何が原因なのか知りたいランナーのために、これまでの研究をまとめました。
1. ランナーズハイは本当にあるの?
ランナーズハイは、長く走ったあとに訪れる幸福感、不安の軽減、痛みの感じにくさをまとめた呼び名です。脳を直接調べたのは2008年のことでした。ミュンヘン工科大学とボン大学の研究チームが、アスリート10人に2時間走ってもらい、走る前後のPET脳画像を比べました。

使われたのは、エンドルフィンと同じ場所にくっつく追跡物質です。走ったあとはこの物質がくっつきにくくなり、感情をつかさどる前頭部や辺縁系で特にそうでした。研究者はエンドルフィンがその場所を使ったと解釈し、幸福感が高い人ほど追跡物質が少なくなっていました。
| 研究 | 対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
| 2008年 ミュンヘン・ボン | 選手10人 | 2時間後に脳のエンドルフィン部位が変化 |
| 2015年 PNAS | マウス | 不安・痛みの軽減にカンナビノイド受容体が必要 |
| 2021年 ヒト試験 | ランナー63人 | エンドルフィンを遮断しても気分効果は残った |
10人はまだ少ない人数です。最初の研究が答えとは限りませんよ。
2. エンドルフィンではなくエンドカンナビノイド?
長いあいだ、エンドルフィンが主役だと言われてきました。ただ、エンドルフィンは血液から脳へ入りにくいとされ、疑問が残っていました。2015年のPNAS掲載のマウス研究では、エンドルフィンのようなオピオイドを遮断する薬(ナロキソン)を与えても、走ったあとの不安軽減や痛みの鈍化はなくなりませんでした。
一方、カンナビノイド受容体を遮断すると効果は弱まりました。体が自分で作るカンナビノイド様物質の一つ、アナンダミドは、走ったあとに血液中で増えました。2012年の研究では、ヒトと犬では運動後に増え、活動量の少ないフェレットでは増えませんでした。
- ヒトの研究:2021年、63人がオピオイド遮断薬(ナルトレキソン)かプラセボを飲み、45分の中強度ランニングとウォーキングを行いました
- 結果:薬の有無にかかわらず、走った日は歩いた日より幸福感が高く、不安が低くなりました
- 血液:走ったあと、アナンダミドと2-AGというエンドカンナビノイドが増えました
📌 参考
これらの研究が示したのは「エンドルフィンは必須ではない」ことで、「何の役割もない」と証明したわけではありません。エンドカンナビノイドも「有力候補」であり、確定ではありません。
3. いつ感じやすい?感じなくても大丈夫な理由
研究で効果が見られた条件はかなり特殊です。ヒトの研究は2時間走や45分の中強度ランニングで、参加者も日ごろから運動している人でした。短いランで同じ変化が起きるかどうかは、この記事で見た資料からは分かりません。

また、これらは平均的な変化を見たもので、全員が同じように感じるという意味ではありません。マウスの研究者も、多幸感はマウスでは測れないと限界を述べています。2012年の研究を率いた研究者は、活動量の少ない人は反応が弱いかもしれず、体力をつけながら待ってみてはと述べています。
| よくある誤解 | こう考えてみましょう |
|---|---|
| 感じないのは走り方が悪い | 研究の条件が限られています |
| エンドルフィンが原因と確定 | 新しい研究は別の候補を示します |
| 短いランは意味がない | この資料では分かりません |
⚠️ 注意
走ったあとの気分の良さは、うつや不安の治療の代わりにはなりません。気分の落ち込みや不安が2週間以上続くときは、医療の専門家に相談してください。走行中に胸の痛み、めまい、冷や汗が出たらすぐに止まりましょう。
4. ランナーズハイを期待しすぎずに走るコツ
大切なのは「感じること」ではなく「外に出て走ること」です。息が上がりすぎると、喜びではなくつらさだけが残ります。会話できるペースの見つけ方は、ゆっくり走る:イージーランのペースの見つけ方にまとめています。
- 楽なペースで:鼻歌が歌えるくらいで十分です
- 気分をメモする:走った日の気分を一行残しましょう
- 期待は低めに:来なくても大丈夫、来たらボーナスです
気分がよかったなら、体がごほうびをくれたんです。感じない日は体を休める日ですよ!
Wittizアプリのレポートで、まず先月に何回走ったかを確認してみましょう。気分がよかった日の距離とペースを記録しておくと、自分に合う走り方が見えてきます。走った分だけたまるゼリーで、ムーンティを着せ替える楽しみもあります。
よくある質問(FAQ)
ランナーズハイは何分走ると来ますか?
決まった時間はありません。この記事で見た研究は2時間走と45分の中強度ランで、短いランでの変化は確認できませんでした。時間に合わせて無理をせず、楽なペースで走ってみてください。
ランナーズハイはエンドルフィンのせいですか?
以前はそう言われていました。しかしエンドルフィンの働きを遮断しても気分の効果が残った2021年のヒト試験が出て、今はエンドカンナビノイドが有力候補とされています。ただ、どちらも確定ではありません。
感じられないのは、うまく走れていないからですか?
いいえ。研究は小規模で条件も限られていて、感じ方も人それぞれです。走ったあとに少しすっきりするなら、それで十分です。
まとめ
ランナーズハイはおそらくありますが、原因はエンドルフィンだけでは説明できません。 感じなかった日も、走った記録はちゃんと残ります。
今週は楽なペースで20分走って、終わったあとの気分を一行書いてみましょう。ムーンティが隣で一緒に走りますよ!
ウィティーズアプリで直接体験してみてください!

参考資料
- Fuss J et al. (2015). A runner's high depends on cannabinoid receptors in mice. PNAS
- ScienceDaily (2008). ランナーズハイPET研究の報道 (Boecker H et al., Cerebral Cortex)
- ScienceDaily (2012). ランナーズハイと運動の進化研究の報道 (Raichlen DA et al., J Exp Biol)
- ScienceBlog (2021). ヒトのナルトレキソン研究の報道 (Siebers M et al., Psychoneuroendocrinology)
この記事はWittizチームが作成しており、アプリに関する内容が含まれています。うつや不安の症状がある方、持病のある方、走行中に胸の痛みやめまいを感じた方は、必ず専門の医療スタッフにご相談ください。

